【音楽史対策】中世の音楽について

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こんにちは。岡田智則です。

今回は、中世の音楽について解説していきます。

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ミサと聖務日課

ローマ教会の典礼式の中で、最も重要なのがミサ聖務日課です。

ミサとは、キリスト教の晩餐の故事に倣って、ブドウ酒とパンをキリストの血と肉に変化させる聖変化と、それを飲食する聖体拝領が中心となり、その際に聖書を朗読したり、信仰を告白したりするものです。聖務日課は、聖職者によって、毎日一定の時間に行われる祈りで、朝の祈りを朝課、夕べの祈りを晩課と言います。←必ず暗記

ミサには、通常文固有文があり、固有文は、クリスマスとか復活際といった特定の日に用いられるもので、通常文は、どんな日でも常に一定の形で使用されるものです。←必ず暗記

通常文のミサは、キリエグロリアクレドサンクトゥスアニュス デイの5つから構成され、固有文には、イントロイトゥスグラドゥアーレアレルヤオッフェルトリウムコンムニオなどで構成されます。←必ず暗記

オルガヌム

9世紀中頃、多声音楽について書かれた最古の理論書「ムジカエンキリアディス」には、「定めたグレゴリオ聖歌に5度ないし4度下に同じ旋律の声部を加える」と2つの声部を一緒に歌う方法が書かれています。

ムジカエンキリアディスには、最初に置かれたグレゴリオ聖歌にヴォクス・プリンキパリス(主声部)、後から加えた下声をヴォクス・オルガナリスと呼び、こうして作られた音楽はオルガヌムと呼ばれ、当時誕生したばかりのオルガヌムは、現在平行オルガヌムと呼ばれています。←必ず暗記

同じ旋律を重ねる平行オルガヌムに対し、1000年頃になると、斜進行反進行の技法が確立されるようになります。これを、自由オルガヌムと言います。この技法の確立により、旋律間の精密な音程関係が求められるようになり、正確な音高を示す角型ネウマが開発されました。←必ず暗記

角型ネウマ譜

このように発展していったオルガヌムは、12世紀に入ると音の長さが異なる旋律が開発されるようになり、メリスマ的オルガヌムと呼ばれる楽曲へと発展していきます。これは、グレゴリオ聖歌が下声部に置かれ、1つ1つの長い音が保続音として持続されていき、上声部では、自由なメリスマ風の楽句が歌われます。グレゴリオ聖歌が主声部ではなくなり、そのメリスマ旋律は、宗教性よりも華やかな芸術性を重要視されるようになっていくのです。

中世吟遊詩人の音楽

教会でオルガヌムが展開されている頃、世俗では、詩を書き、それに旋律を付けて歌う吟遊詩人の音楽が、1080年頃から1280年頃にかけて盛んに作られていきます。前半は南フランス、後半は北フランスを中心に世俗音楽が発展していきました。

南フランスで生まれた吟遊詩人はトルバトゥールと呼ばれます。トルバトゥールの吟遊詩人は、オク語で詩を書き、X+X+Yの開かれた叙事詩的三部形式の構成で作られていました。この形式をカンソと言います。

南フランスで生まれたトルバトゥールは、その後、パリを中心とする北フランスに移って活動を展開します。この吟遊詩人はトルヴェールと呼ばれます。これは、トルバトゥールのカンソを受け継ぎ、バラードに加えて、ロンドーヴィルレという新しい形式を作り上げました。詩には、オイル語が使われ、X +Y+Y閉じられた三部形式で音楽を作り上げていきました。

吟遊詩人の旋律は、詩のリズムに従い、音節的メリスマ風の音型を持っていました。音楽そのものは、単声音楽から離れることはありませんでしたが、堅固な3部形式で構成され、旋法は主にドリア旋法ミクソリディア旋法が使われていました。

また、吟遊詩人の歌には楽器伴奏が添えられ、前期はジョングルール、後期はメネストレルという楽師が担っていました。

その後、吟遊詩人たちは周辺諸国へと波及していきます。特に、活発な活動を展開したのが、ドイツのミンネジンガーと言われる吟遊詩人たちです。トルヴェールの影響を受け、ドイツで生まれたミンネジンガーは、バラードを受け継ぎ、バールと呼ばれる開かれた三部形式の詩に付曲する音楽を作っていきました。

ノートルダム楽派

オルガヌムは、12世紀後半になるとパリのノートルダム大聖堂で展開し、修道院から大聖堂で音楽が作られるようになっていきました。

1300年頃まで展開されたノートルダム楽派は、前期はレオニヌス、後期はペロティヌスがその役割を担っていきます。

レオニヌス
ペロティヌス

ノートルダム楽派の音楽の特徴は、多声部とユニゾン部分(グレゴリオ聖歌)の交替が作り出す対照に見られ、メリスマ的オルガヌムの下声部にもリズムで動く音楽が作られていきました。これをディスカントゥス様式と言います。この様式の誕生により、これまで2声だったオルガヌムが、3声・4声へと拡大されるようになっていきます。

試験対策(例題と模範解答)

以下の用語について記述せよ

通常文・固有文固有文は、クリスマスや復活祭などの特定の日に用いられるミサであり、通常文は、どんな日でも一定の形で使用されるミサである。通常文のミサには、キリエ・グロリア・サンクトゥス・アニュス デイの5つからなり、固有文は、イントロイトゥス・グラドゥアーレ・アレルヤ・オッフェルトリウム・コンムニオなどで構成される。通常文は、歌詞が一定であり、2つの合唱による交唱形式が用いられるのに対し、固有文の方は、独唱風な旋律による応唱が用いられた。
オルガヌム9世紀中頃、多声音楽について書かれた最古の理論書「ムジカ・エンキリアディス」には、「定めたグレゴリオ聖歌に5度ないし4度下に同じ旋律の声部を加える」と2つの声部を一緒に歌う方法が書かれている。
最初に置かれたグレゴリオ聖歌にヴォクス・プリンキパリス(主声部)、後から加えた下声をヴォクス・オルガナリスと呼び、こうして作られた音楽はオルガヌムと呼ばれ、当時誕生したばかりのオルガヌムは、現在平行オルガヌムと呼ばれている。
同じ旋律を重ねる平行オルガヌムに対し、1000年頃になると、斜進行と反進行の技法が確立されるようになり、これを自由オルガヌムと言いう。この技法の確立により、旋律間の精密な音程関係が求められるようになり、正確な音高を示す角型ネウマが開発された。
メリスマ歌詞の1音節に対し、2つ以上の音符を用いて歌う技法。固有文のアレルヤでは、最終母音が伸ばされて装飾的な歌われる技法が用いらたことから発展していった。
ディスカントゥス様式1300年頃まで展開されたノートルダム楽派の音楽の特徴は、多声部とユニゾン部分(グレゴリオ聖歌)の交替が作り出す対照に見られ、メリスマ的オルガヌムの下声部にもリズムで動く音楽が作られていった。これをディスカントゥス様式という。レオニヌスの後を受け継いだペロティヌスは、この様式の確立によって、2声だったオルガヌムを3声・4声へと拡大していった。
トルバドゥール・トルヴェール教会でオルガヌムが展開されている頃、世俗では、詩を書き、それに旋律を付けて歌う吟遊詩人の音楽が、1080年頃から1280年頃にかけて盛んに作られた。前半は南フランス、後半は北フランスを中心に世俗音楽が発展していった。
南フランスで生まれた吟遊詩人はトルバトゥールと呼ばれ、オク語で詩を書き、X+X+Yの開かれた叙事詩的三部形式の構成で音楽を作っていった。この形式をカンソと言いう。
南フランスで生まれたトルバトゥールは、その後、パリを中心とする北フランスに移って活動を展開し、吟遊詩人はトルヴェールと呼ばれる。トルヴェールは、カンソを受け継ぎ、バラードに加えて、ロンドーとヴィルレという新しい形式を生み出した。詩には、オイル語が使われ、X +Y+Yの閉じられた三部形式で音楽を作り上げていった。
また、吟遊詩人の歌には楽器伴奏が添えられ、前期はジョングルール、後期はメネストレルという楽師が担っていた。
ミンネジンガーフランスで発展した吟遊詩人の音楽は、その後周辺諸国へと波及していく。特に、活発な活動を展開したのが、ドイツのミンネジンガーと言われる吟遊詩人である。トルヴェールの影響を受け、ドイツで生まれたミンネジンガーは、バラードを受け継ぎ、バールと呼ばれる開かれた三部形式の詩に付曲する音楽を生み出した。

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