【音楽史対策】バロック時代のオペラについて

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こんにちは。岡田智則です。

今回はバロック時代のオペラについて解説していきます。

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バロック時代とは

西洋音楽史では、劇音楽が誕生した1600年から、バッハ没年にあたる1750年までの150年をバロック音楽の時代とされています。必ず暗記

バロック時代の特徴は以下の2点です。必ず暗記

  • 劇音楽(歌劇)の誕生
  • 本格的な器楽の興隆

今回は、前者の劇音楽の誕生からその発展について紹介していきます。

オペラ誕生に向けて

16世紀後半のルネサンスにおける文化創造活動における基盤は、古代ギリシア古代ローマの研究であり、フィレンツェで盛んに行われていました。

中でも「古代ギリシアの演劇」を研究テーマとし、天文学者や文学者、作家、音楽家などといった文化人が集まって「古代ギリシャ演劇の復興」のため、その劇音楽の創作に尽力したグループがありました。←必ず暗記

このグループをカメラータと言います。

当時の研究では、古代ギリシアの演劇は、主な登場人物に関しては歌は使用されていませんでしたが、その他の群衆たち(コロス)は歌が使用されていたと推測していました。この形態を基盤に、歌を使用した演劇を作ろうとカメラータの人たちは試みました。これがオペラの原型とされています。

カメラータの人々は、演劇のセリフを歌うように語るレチタール・カンタンドという手法を用いて、それを和声伴奏和弦伴奏)にのせて単旋律が歌われる『モノーディア・コンパニャートモノディ様式)』という様式を開発しました。必ず暗記

このようにしてできた劇音楽は、当時ドラマ・ペル・ムジカと呼ばれ、その最初の作品は、1600年フィレンツェのメデチ家の婚礼に際し、リヌッチーニの台本をもとにペーリによって作曲された『エウリディーチェ』である。

モンテヴェルディとヴェネツィア楽派

クレモナ生まれのモンテヴェルディは、カメラータの様式を受け継ぎ、1607年に『オルフェウス』を発表します。この曲を通して、オペラを音楽、演劇、美術を用いた総合芸術として完成させました。

モンテヴェルディ

1623年、ヴェネツィアに移住し、そこでオペラの発展に尽力します。

モンテヴェルディは『ウリッセの帰郷』や『ポッペーアの戴冠』の発表を通じて、当時イタリアで作られた「和声終止形による音楽構造の発展」とバイオリンのトレモロやピチカート奏法を用いるなど「管弦楽を使用した合奏形態の確立」に勤め、オペラの発展に貢献しました。必ず暗記

また、この時代にヴェネツィアには多くのオペラ劇場が建てられ、中でも1637年に開設されたサン・カッシアーノは、史上初の公開オペラ劇場として、劇音楽が初めて市民に提供さました。

アレッサンドロ・スカルラッティとナポリ楽派

17世紀後半、ヴェネツィア共和国の経済力が弱まって行っていき、オペラの中心はナポリへと移りました。ナポリにおけるオペラの発展をナポリ楽派と言います。

ナポリ楽派のオペラの特徴は、歌手の声の美しさと技巧の見事さであり、カストラートによるヴィルトゥオーゾの歌唱(コロラトゥーラ)こそ最高の音楽であるとされていました。必ず暗記

ナポリ楽派のオペラに重要な功績を残したのがアレッサンドロ・スカルラッティです。彼は、イタリア式序曲という器楽曲の形式や、ダカーポアリアと呼ばれる歌唱形式を確立させました。

アレッサンドロ・スカルラッティ

ダカーポアリアとは、A-B-Aの3部形式で、アリアやレチタティーボという歌唱様式を用いて構成されたものです。

アリアは、美しい旋律を美しい声で歌うベルカント唱法や歌における名人芸としての技巧を聞かせたり、コロラトゥーラを用いた「抒情的に歌われる音楽」で物語における感情表現の場です。一方レチタティーボは、物語を一気に進行させていくための様式で、チェンバロ伴奏による叙唱的に歌われる形態が用いられたりしました。必ず暗記

イタリア式序曲は、オペラ開始のための音楽であり、管弦楽のみで演奏されるものです。急-緩-急の速度設定による3部形式で構成され、当時はシンフォニアと呼ばれていました。オペラの開始にこの音楽が演奏されることにより、イベントとしての祝祭生が強まったのです。←必ず暗記

こうしてナポリ楽派のオペラは、まずシンフォニアが演奏されアリアとレチタティーボを何度か繰り返し、最後は重唱または合唱によって締めくくられるという形式を確立させていきました。

このように確立されたオペラにも市民向けのものと貴族向けのものに別れていきます。

神話や古代史を題材とし、アリアとレチタティーボを重用して作られてた貴族のためのオペラをオペラセリア、世俗的な内容を扱った市民のための喜劇風のオペラをオペラブッファといいます。←必ず暗記

フランスのオペラ

16世紀末に、フランスではメディチ家の婚礼の祝いのために「王妃のバレエ・コミック」という舞台芸術が上演され、これがフランス歌劇の起源だと言われています。

17世紀後半に、イタリアで発展した歌劇がフランスで上演されたことをきっかけに、王妃のバレエ・コミックにイタリア歌劇の要素を取り入れられようとしました。

その中心となったのが人物がリュリです。

彼は当初、喜劇とバレエを組み合わせたコメディ・バレエと呼ばれる音楽を作っていましたが、フランス語の抑揚を生かし、音楽をことばに従わせる形態を持ったイタリアとは異なる歌劇を創作しました。

また、オーケストラの演奏形態として緩-急-緩の3部形式によるフランス式序曲を確立させ、その後の器楽分野にも大きな影響を与えました。

試験対策(問いと回答)

以下の用語について記述せよ

カメラータ16世紀後半より、「古代ギリシアの演劇の復興」をテーマに研究を展開したグループ。天文学者や文学者、作家、音楽家などといった様々な文化人が集まり、セリフを歌うように語るレチタールカンタンドや和声伴奏に乗せて単旋律を歌うモノーディア・コンパニャートを確立させた。その最初の作品は、1600年にメディチ家の婚礼に際し、ペーリがリヌッチーニの台本をもとに作曲した『エウリディーチェ』とされている。
モノーディア・コンパニャート詩を叙唱風、つまり歌と話しことばの中間を行くような旋律を和弦伴奏に乗せて歌う様式。16世紀、古代ギリシアの演劇の復興を試みたカメラータによって確立された。
オルケストラ16世紀後半、古代ギリシアの演劇の復興を目的とした研究グループ、カメラータの人たちが演劇の試演やを行った演奏者。オペラにおける和声伴奏の役割を持っていた。
ナポリ楽派17世紀後半、ナポリで展開されたオペラの創作活動。「シンフォニア+アリアとレチタティーボの繰り返し+重唱または合唱」という形態を確立させた。その中心的な作曲家がアレッサンドロスカルラッティで、急-緩-急の3部形式で構成させるイタリア式序曲や、抒情的に歌われるアリアとチェンバロ伴奏による叙唱的に歌われるレチタティーボを組み合わせたダカーポアリアという形式を確立させた。
イタリア式序曲17世紀後半ベネツィア楽派のアレッサンドロスカルラッティによって確立されたオペラ開始のための音楽であり、管弦楽のみで演奏される。急-緩-急の速度設定による3部形式で構成され、当時はシンフォニアと呼ばれていた。
ダカーポアリアA-B-Aの3部形式で、アリアやレチタティーボという歌唱様式を用いて構成されたもの。17世紀後半ベネツィア楽派のアレッサンドロスカルラッティによって確立された。アリアはベルカント唱法やコロラトゥーラを用いた物語の場面を抒情的に歌われる音楽で、レチタティーボは物語を進行さるための音楽で、チェンバロ伴奏による叙唱的に歌われる形態が用いられた。
オペラセリア・オペラブッファ17世紀後半ナポリ楽派のオペラの発展によって、歌劇も市民向けのものと貴族向けのものに別れていった。神話や古代史を題材とし、アリアとレチタティーボを重用して作られてた貴族のためのオペラをオペラセリア、世俗的な内容を扱った市民のための喜劇風のオペラをオペラブッファという。
フランス式序曲17世紀後半、リュリによって確立されたフランスオペラにおける序曲。緩-急-緩の3部形式で管弦楽によって演奏される。

17世紀のオペラについて述べよ。(17世紀イタリアオペラについて述べよ)

西洋音楽史における最初のオペラ創作は、フィレンツェを中心に古代ギリシアの演劇の復興」をテーマに研究を展開したグループ、カメラータによる創作活動だと言われている。カメラータは、劇のセリフを語るように歌うレチタールカンタンドを和声伴奏に乗せて単旋律で構成するモノーディアアコンパナヤートを確立させた。17世紀前半は、モンテベルディを中心としたベネツィア楽派が、モンテヴェルディは「ウリッセの帰郷」や「ポッペーアの戴冠」の発表を通じて、和声終止形による音楽構造の発展と管弦楽を使用した合奏形態の確立に勤め、オペラの発展に貢献した。17世紀後半は、アレッサンドロスカルラッティを中心としたナポリ楽派が、イタリア式序曲という器楽曲の形式や、ダカーポアリアと呼ばれる歌唱形式を確立させ、「シンフォニア+アリアとレチタティーボの繰り返し+重唱または合唱」という歌劇を完成させていいた。この時代、史上初の公開オペラ劇場であるサンカッシアーノが開設され、市民にも公開されるようになっていき、歌劇もオペラブッファとオペラセリアの2種類が誕生した。前者は、世俗的な内容を扱った喜劇風で市民に楽しまれ、後者は、神話や古代史を題材に貴族の間で楽しまれていった。(イタリア指定の場合、ここまので回答OK

イタリアでのオペラの発展に伴い、フランスではリュリを中心としたオペラの発展が行われ、フランス式序曲の確立によりフランス独自のオペラが作られた。また、イギリスでは当時盛んだったマスクを発展させる形でパーセルがバラッドオペラへと発展を進め、ドイツでもシュッツによってバラッドオペラに相当するジングシュピールが作られていった。

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